テントや調理機材と違って、容器と包材は出店のたびに消えていきます。しかも当日足りなくなっても会場では買い足せません。ここでは、メニューから逆算して容器を決める手順と、容器以外に必ず必要になる資材をまとめました。
結論|「熱・油・汁」の3つで決める
容器選びで迷ったら、自分のメニューを次の3つで見てください。
- 熱いまま蓋をするか
- 油が出るか
- 汁気があるか
この3つが決まれば、必要な素材と蓋の形はほぼ決まります。見た目やコストを考えるのはその後です。
素材で迷ったら耐熱温度を見る
同じように見える使い捨て容器でも、素材によって耐えられる温度がまったく違います。熱いものを入れて蓋をした瞬間に変形した、というのは容器選びで最も多い失敗です。
PP(ポリプロピレン)
- 耐熱温度
- 110℃
- 電子レンジ
- ○
- 断熱性
- ×
- 耐油性
- ○
PPF
- 耐熱温度
- 130℃
- 電子レンジ
- ○
- 断熱性
- ×
- 耐油性
- ○
PS(ポリスチレン)
- 耐熱温度
- 70℃
- 電子レンジ
- ×
- 断熱性
- ×
- 耐油性
- ×
PSP(発泡スチロール)
- 耐熱温度
- 80℃
- 電子レンジ
- ×
- 断熱性
- ○
- 耐油性
- ×
耐熱PSP
- 耐熱温度
- 100℃
- 電子レンジ
- ○
- 断熱性
- ○
- 耐油性
- ○
OPS
- 耐熱温度
- 80℃
- 電子レンジ
- ×
- 断熱性
- ×
- 耐油性
- ×
A-PET
- 耐熱温度
- 60℃
- 電子レンジ
- ×
- 断熱性
- ×
- 耐油性
- ○
PLA(生分解性)
- 耐熱温度
- 50℃
- 電子レンジ
- ×
- 断熱性
- ×
- 耐油性
- ×
| 比較項目 | PP(ポリプロピレン) | PPF | PS(ポリスチレン) | PSP(発泡スチロール) | 耐熱PSP | OPS | A-PET | PLA(生分解性) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 耐熱温度 | 110℃ | 130℃ | 70℃ | 80℃ | 100℃ | 80℃ | 60℃ | 50℃ |
| 電子レンジ | ○ | ○ | × | × | ○ | × | × | × |
| 断熱性 | × | × | × | ○ | ○ | × | × | × |
| 耐油性 | ○ | ○ | × | × | ○ | × | ○ | × |
ポイントは2つです。
- 熱いまま蓋をするならPP系(110℃〜)。PSやA-PETは冷たいもの専用と考えます
- 手で持つ時間が長いなら断熱性。発泡タイプは熱が伝わりにくく、屋外で立ったまま食べるスタイルに向きます
メニュー別の容器選び
丼もの・カレー
汁気があるので、蓋の形が最優先です。本体と蓋が内側でかみ合う「内嵌合(うちかんごう)」タイプを選びます。外嵌合より漏れにくく、袋の中で多少傾いても持ちこたえます。
丼・カレー用の内嵌合容器
汁気のあるメニューの本命。本体と蓋が内側でかみ合う「内嵌合(うちかんごう)」タイプは、持ち運び中に横向きになっても汁が伝って漏れにくい形状です。PP素材なら耐熱110℃で電子レンジにも対応します。
- ✓内嵌合タイプ(外嵌合より汁漏れに強い)
- ✓PP素材=耐熱110℃・耐油性あり
- ✓仕切りの有無をメニューに合わせて選ぶ
揚げ物・粉もの
から揚げ、フライドポテト、たこ焼きは油と湯気の両方が出ます。耐油加工のない紙袋を使うと、渡した直後に底が抜けます。
揚げ物用の耐油紙袋・フードパック
から揚げ・フライドポテト・たこ焼きなど、油と湯気が出るメニュー用。耐油加工のない紙袋を使うと底が抜けます。湯気を逃がす穴や、片手で持てる形状かどうかも屋外では効いてきます。
- ✓耐油加工の有無を必ず確認する
- ✓湯気がこもるとベタつくので通気を考える
- ✓片手で持てるサイズだと歩き食べに向く
焼きそば・麺類
熱と油を同時に受けるうえ、蓋をすると内側が結露します。発泡タイプは持ちやすい反面、通常のPSPは耐熱80℃前後なので、熱いまま提供するなら耐熱タイプを選んでください。
麺・焼きそば用の容器
焼きそば・やきうどんのような油と熱を同時に受けるメニューは、耐熱と耐油の両方が要ります。PSP(発泡)は断熱性が高く手が熱くなりにくい一方、耐熱は80℃程度なので、熱いまま蓋をする運用なら耐熱タイプを選びます。
- ✓発泡容器は断熱性が高く持ちやすい
- ✓通常のPSPは耐熱80℃前後・耐熱PSPで100℃
- ✓蓋をしたときに麺が潰れない深さを選ぶ
ドリンクはカップ・蓋・ホルダーをセットで考える
ドリンクは容器の点数がいちばん多くなります。カップだけ買って蓋の口径が合わなかった、というのはよくある失敗です。
ドリンクカップとドーム蓋
ドリンクを出すなら、カップ・蓋・ストローはサイズを揃えて一括で。蓋はフラットとドーム型があり、生クリームやトッピングを乗せるならドーム型が必要です。カップの口径(サイズ表記)が合わないと蓋が閉まりません。
- ✓カップと蓋は必ず同じ口径で揃える
- ✓トッピングを乗せるならドーム蓋
- ✓冷たい飲み物は結露するので手提げも用意
注意: カップの「オンス」表記と口径は別物です。90口径・98口径のように口径を合わせて選んでください。
そしてもう一つ、忘れると売上に直結するのがキャリアです。
ドリンクキャリア(カップホルダー)
2杯以上まとめて買う客が必ず出ます。キャリアが無いと「2つは持てない」と言われて1杯で終わり、単価が上がりません。数百円の資材で客単価が変わる、費用対効果が読みやすい一品です。
- ✓2個用と4個用を両方持っておくと安心
- ✓カップの口径に合うか確認する
- ✓かさばるので在庫スペースも考える
容器以外に必ず要る資材
容器を揃えて安心してしまいがちですが、当日「無い」と気づいて困るのはむしろこちらです。
使い捨てカトラリー(スプーン・フォーク)
個包装かバラかで運用が変わります。個包装は衛生面で説明しやすく、バラは安いぶんカトラリーケースが必要です。木製・紙製は環境配慮のアピールにもなりますが、カレーのように力がかかるメニューでは強度を確認してください。
- ✓個包装か、ケースに立てて配るかを先に決める
- ✓カレー・丼は強度のあるものを選ぶ
- ✓木製・紙製は見た目の印象が良い
- ✓マチのある形状だと容器が傾きにくい
- ✓有料か無料かを先に決めて値札に反映
- ✓雨天も想定してビニール製も少し持つ
紙ナプキン・おしぼり・ゴミ袋
忘れがちですが、無いとその場で困る三点セット。屋外は手を洗える場所が限られるので、おしぼりがあるだけで食べてもらいやすくなります。ゴミ袋は自分のブースの分別用と、撤収時の持ち帰り用の両方が要ります。
- ✓おしぼりは屋外イベントほど効く
- ✓ナプキンは風で飛ぶのでケースに入れる
- ✓ゴミは持ち帰りが原則の会場も多い
何個買えばいい?
業務用の包材は100個・500個といったロット単位が基本です。単価は下がりますが、かさばるうえに保管場所を取ります。
初出店なら、次の考え方が無難です。
- 想定来客数の1.2倍を目安に用意する
- 容器は多め、カトラリーと袋は少なめでよい(カトラリー辞退や、そのまま食べる客がいるため)
- 次も使う汎用品から先に揃える。メニュー専用の形状は出店回数が増えてから
カトラリーは「おつけしますか」の一言を
2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法では、フォーク・スプーン・ナイフ・マドラー・ストローの5品目が飲食店向けの「特定プラスチック使用製品」に指定されています。
義務が課されるのは、これらを年間5トン以上提供する事業者です。イベント出店の規模で5トンに達することはまずないので、罰則の対象にはなりません。
ただし、削減自体は事業者の努力義務です。そして実務的にも、「カトラリーはおつけしますか」と一言聞くだけで、使わない分の資材が減ってコストが下がります。木製や紙製に替えるのも、コストは上がりますが見た目の印象は良くなります。
容器は「売上」にも効く
容器はコストとして見られがちですが、次の3点は売上側に効きます。
- 写真映え。透明蓋やドーム蓋は中身が見え、SNSに載せてもらいやすくなります
- 片手で持てるか。歩きながら食べられる形状は、会場を回りながら買う客に選ばれます
- 2つ持てるか。キャリアの有無で、1杯で終わるか2杯になるかが変わります
まとめ
- 素材は耐熱温度で選ぶ。熱いまま蓋をするならPP系
- 汁気があるメニューは内嵌合の蓋
- ドリンクはカップ・蓋・ホルダーを口径で揃えて一括で
- 容器以外の資材(カトラリー・袋・おしぼり・ゴミ袋)を先にリスト化しておく
- 初回は想定来客数の1.2倍。汎用品から揃える
※耐熱温度は一般的な目安です。実際の数値は各商品の仕様を確認してください。
