「カード使えますか?」と聞かれて、断ったことがある。そういう経験があると、次の出店までに何か用意したほうがいいのかと考えます。一方で、端末を買うにもお金がかかります。手数料も引かれます。
この記事では、導入したほうがいい人と、しなくていい人を分けます。特定の端末を勧める記事ではありません。
先に結論
年に数回の出店で、単価が1,000円以下なら、現金だけで足ります。その代わり、釣り銭をしっかり用意してください。そちらのほうが、この記事の読者の大半にとっては現実的です。
導入を考えたほうがいいのは、次に当てはまる人です。
- 単価が3,000円を超える商品を売っている
- 商業施設やイベント主催者から求められている
- 実店舗があって、そこでも決済を導入する予定がある
- 行列ができて、現金のやりとりが会計の足を引っ張っている
ひとつも当てはまらないなら、いまは要りません。以下は、その判断の根拠です。
現金だけで足りる理由
屋台の単価では、手数料の影響が読みにくい
焼きそば700円を100食売ると、売上は7万円です。決済手数料が2.5%なら1,750円が引かれます。この1,750円を、キャッシュレスで増えた売上が上回るかどうか。それが判断の全部です。
そして、増える売上は業態によってまったく違います。700円の焼きそばを買う人は、財布に700円があれば現金で払います。「現金がないから買えなかった」という人は、そう多くありません。
屋外イベントでは、決済が止まることがある
大規模なイベントで通信がつながりにくくなるのは、電波が弱いからではなく、通信が一カ所に集中して処理が追いつかなくなるためです(ソフトバンク発表)。開場直後や、盛り上がりのピークに起きやすくなります。
これはSIM内蔵の決済端末でも起こります。キャッシュレスを入れても、現金の釣り銭は必要です。「キャッシュレスにすれば釣り銭の準備がいらない」とはなりません。
導入には審査の時間がかかる
どの決済サービスも、申し込んだその日から使えるわけではありません。加盟店の審査があります。出店日が決まっていて、そこに間に合わせたいなら、逆算してかなり早めに動く必要があります。直前に思い立って申し込んでも、当日は現金だけになります。
それでも導入したほうがいい人
単価が3,000円を超える
ここが分かれ目です。
3,000円、5,000円という金額になると、財布の現金で足りない人が出てきます。ハンドメイドのアクセサリー、革製品、作家ものの器。「良いけど、今日は現金がこれだけしかなくて」で終わる場面が実際に起きます。
手数料2.5%は、3,000円なら75円です。1件でも取り逃しを防げれば、その日のうちに元が取れます。
ハンドメイドや物販の出店については、ハンドメイド出店の記事にまとめてあります。
主催者や施設から求められている
商業施設の催事スペースや、企業が主催するイベントでは、キャッシュレス対応が出店の条件になっていることがあります。募集要項に書かれていることがあるので、応募前に確認してください。
募集要項のどこを見るかは、出店募集の探し方の記事で解説しています。
実店舗がある
店舗でも同じサービスを使えば、売上を1つの管理画面でまとめられます。イベント分だけ別で管理する手間がなくなります。
行列ができる
現金のやりとりは、思っているより時間がかかります。受け取って、数えて、釣りを渡して、レシートを渡す。タッチ決済なら数秒で終わります。行列が伸びて後ろの人が離れているなら、手数料より会計速度のほうが効きます。
ブースの会計待ちを短くする工夫は、売れるブースの作り方の記事にまとめてあります。
世の中の流れとしては、増えています
経済産業省の発表では、2025年の日本のキャッシュレス決済比率は58.0%でした(2026年3月31日発表)。政府は2030年までに65%という目標を掲げています。
ただし、これは日本全体の数字です。屋外イベントの屋台がこの比率だという意味ではありません。祭りの屋台は、いまも現金が中心です。数字は「いずれそうなる」という話であって、「いま導入しないと遅れている」という話ではありません。
導入すると決めたら
ここから先は、導入すると決めた人向けです。
まず、無料で始められる方法があります
端末を買わなくても、キャッシュレスは始められます。アカウントの作成自体は無料で、手数料や管理画面を先に確認できます。端末が必要かどうかは、そのあとで判断できます。いきなり4万円の端末を買う必要はありません。
Square
PRアカウントの作成は無料で、初期費用も月額固定費もかかりません。手数料や管理画面を先に確認してから、端末が必要かどうかを判断できます。スマートフォンだけでタッチ決済を受け付ける方法もあります。
- ✓アカウント作成は無料。オンラインで申し込める
- ✓対面の決済手数料は2.5%から(2026年9月時点)
- ✓振込手数料は無料
注意:Square ターミナルにはモバイル通信が入っていません。屋外で使うなら、会場のWi-Fiかスマートフォンのテザリングが必要です。またQRコード決済の利用開始には審査があり、時間がかかることがあります。料率と条件は変わることがあるので、公式サイトで確認してください。
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会場の電波が読めないなら
会場にWi-Fiがなく、テザリング用のスマートフォンも用意したくない場合は、本体にモバイル通信が入っている端末という選択肢があります。手数料は少し高くなりますが、端末1台で会計が完結します。
楽天ペイ ターミナル
PR4G LTEのモバイル通信とWi-Fiに対応した一体型の決済端末です。加盟店向けの優待SIMを利用すれば、会場のWi-Fiやテザリング用のスマートフォンを用意しなくても、端末1台で会計が完結します。
- ✓4G LTEとWi-Fiの両対応
- ✓レシートプリンター内蔵
- ✓カード・タッチ決済・QRコード決済・電子マネーに1台で対応
注意:決済手数料は2.95%(税抜)からで、Squareの2.5%からより高めです。通信の確実さを取るか、手数料を取るかで選び方が変わります。加盟店向けの優待SIMは月額0円ですが、公式に「将来有料化予定」と注記があります(2026年9月時点)。申し込みから利用開始までには加盟店審査があります。
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3台を比べたい場合
楽天ペイ・PayCAS・Squareを、通信方式という一点で比べた決済端末の比較記事があります。
Squareの具体的な使い方
Wi-Fiがない会場での使い方、手数料、入金サイクルまで、1つのサービスに絞って詳しく書いたSquareの使い方の記事があります。
導入しないと決めた人へ
それで正解の場合が多いです。そのかわり、現金の準備を確実にしてください。
- 釣り銭は前日までに用意する。当日の朝に銀行は開いていません
- 千円札と小銭を、想定客数から逆算して用意する
- コインケースを使うと、会計が目に見えて速くなります
- 売上金は、途中で一度分けて別の場所に保管する
出店にかかる費用の全体像は、業態別の費用の記事にまとめてあります。
まとめ
- 年に数回、単価1,000円以下なら、現金だけで足ります
- 導入を考えるのは、単価3,000円超/主催者から求められている/実店舗がある/行列ができる、のいずれかに当てはまるとき
- キャッシュレスを入れても、釣り銭の準備は必要です。大規模イベントでは通信が混雑して決済が止まることがあります
- どのサービスも加盟店審査があります。出店日から逆算して早めに
- 端末を買う前に、無料でアカウントを作って中身を確認できます
日本全体のキャッシュレス決済比率は58.0%(2025年・経済産業省)ですが、祭りの屋台がその比率だという意味ではありません。自分の単価と客数で判断してください。
