隣のブースには列ができているのに、こちらは同じ時間ずっと素通りされている。イベントに出ていると、そういう日があります。同じ商品を持っていっても売れる日と売れない日があって、天気や来場者数だけでは説明がつかない日もあります。差がつくのは、たいてい商品そのものではなく見せ方です。しかも見せ方は、道具を買い足さなくても今日から変えられます。
結論|通路を歩く人は、3秒しか見ていない
イベントの通路を歩く人は、ブースを1つずつ吟味していません。歩きながら視界に入った情報だけで、立ち止まるかどうかを決めています。その時間は数秒と言われます。
3秒で伝わっていないといけないのは、この3つだけです。
- 何の店か
- いくらか
- 近づいていいのか
このどれかが欠けていると、素通りされます。逆にいうと、この3つを直すだけで、商品を変えずに立ち止まる人が増えます。
何の店か ── 看板は通路側に出す
テントの中に貼った紙は、歩いている人の視界に入りません。人は前を見て歩いているので、目に入るのは通路側の、腰から目の高さです。
- ✓メニューは3〜5品に絞ると読まれる
- ✓価格を必ず入れる
- ✓価格は税込の総額で表示する(「500円+税」のような書き方は避ける)
- ✓手書きなら太いマーカーで、細字は遠くから読めない
注意: 通路にはみ出す設置は禁止されている会場が多いです。置ける範囲は主催者に確認してください。
のぼりや横断幕をあわせて使うと、遠くからでも見つけてもらえます。ただし、サイズの決め方やデザイン、発注のしかたはのぼりと横断幕の作り方のほうにまとめてあるので、この記事ではどこに置くかだけに絞ります。
置き場所で押さえるのは2点だけです。通路側に出すことと、腰から目の高さに置くこと。テントの奥に立てた看板や、机の上に寝かせたボードは、歩いている人の視界には入りません。
会場が公道に面している場合は、道路使用許可や自治体の屋外広告物条例が関わることもあります。設置場所は主催者の指示に従ってください。
いくらか ── 値段が見えないと聞けない
「値段を聞くのが気まずい」は、想像よりずっと多くの人が感じています。特にハンドメイドや個人の飲食は価格帯が読めないので、書いていないだけで候補から外れます。
- ✓商品名・価格・ひとことの3点セット
- ✓風で飛ぶのでスタンドかクリップで固定
- ✓おすすめ1品だけ色を変えると目が止まる
価格は税込の総額で表示します。「500円+税」のような書き方は避けてください。レジで金額が変わると、その場で買うのをやめる人がいます。
値札は「商品名・価格・ひとこと」の3点セットにすると、同じ質問を何度も受けずに済みます。「ひとこと」は素材、産地、おすすめの食べ方など、短くて構いません。
飲食なら、素材や産地に加えて、卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かになどのアレルギー物質を書いておくと、聞かれる前に伝わり、トラブルも防げます。パッケージに入れて売る場合は表示のルールがあるため、保健所に確認してください。
近づいていいのか ── 机で入口をふさがない
意外と多いのが、机を通路と平行に置いて、自分が奥に立っている配置です。動線としては合理的ですが、客側からは「カウンター越しに話しかける」形になり、気軽にのぞきにくくなります。
ここは、道具を買い足さずに直せるところです。
- 机を少し斜めにするか、片側を開けて、中に入れる隙間をつくる
- 机の上の私物(飲み物・カバン・スマホ)を、目に入らない場所に移す
- 売りたい商品を、目の高さの手前に移す
物販なら、手前に「触っていい商品」を置くと、足が止まりやすくなります。ハンドメイド作家向けの出店入門でも触れていますが、手に取れる状態になっているかどうかで、立ち止まる人の数が変わります。
立ち位置も同じです。立って接客できると声をかけられやすくなります。ただし体調を優先してください。暑い日や長時間の出店で、無理に立ち続ける必要はありません。
高さをつくると、商品が見える
机に平置きだけのブースは、通路を歩く人の目線から見ると手前の1列しか見えていません。奥に並べた商品は、立ち止まって見下ろさないと存在に気づかれません。
- ✓高さ3段で奥の商品まで見える
- ✓木箱は積み方を変えられて融通がきく
- ✓重いものは下、軽いものを上に
飲食の場合
飲食も考え方は同じで、平らに並べるほど「在庫」に見えます。高さのある器に少量ずつ載せると、同じ商品でも選びたくなる見え方になります。包材や容器そのものの選び方は容器・包材の選び方にまとめてあります。
- ✓少量ずつ載せて、こまめに補充する
- ✓高さ違いを組み合わせると立体感が出る
- ✓屋外は蓋つき・カバーつきを選ぶ
注意: 屋外での食品の露出陳列は、多くの自治体で個包装または覆いが求められます。会場・保健所によってルールが異なるため、陳列方法を決める前に開催地の保健所と主催者に確認してください。
照明があると、商品の色が出る
テントの下は日陰になり、屋内のイベントも会場全体は暗めです。商品に光が当たっているかどうかで、通りがかりの目の止まり方が変わります。
- ✓商品を照らす。顔に向けない
- ✓電池式・USB式なら電源のない会場でも使える
- ✓昼白色は商品の色が正確に見える
夜のイベントでは必須になります。冬は日没が早いので、17時までの営業でも最後の30分は暗い中です。暗さと寒さがまとめて来る時期の準備は冬の出店の防寒対策にまとめてあります。
色数を絞ると、商品が主役になる
ブースの中に色が多いと、目がどこを見ればいいか分からなくなります。クロス・什器・POPの色を絞ると、相対的に商品が目立ちます。
- 背景(クロス・布)は無地で、商品より目立たない色
- 什器は木か白か黒でトーンを揃える
- 差し色はいちばん売りたい商品1つだけに使う
布を敷くなら、柄物は商品と喧嘩します。無地の暗め、または生成りにしておくと、商品がどんな色でも受け止められます。すでに持っている布で十分で、新しく買うより先に「今ある中でいちばん地味な1枚」を試してみてください。
当日、写真を撮ってもらえるか
ブースの見た目を整えると、SNSに載せてもらえる確率が上がります。そのときに店名が写っているかが分かれ目です。
- 看板やクロスに店名を入れておく
- SNSのIDを、写真に写る位置に小さく出しておく
- ショップカードを渡すときに「よければ載せてください」と一言
その日の売上より、次の出店やネットショップにつながります。
会計が詰まると、後ろの人が消える
見せ方を整えて人が立ち止まるようになると、次に起きるのが会計の渋滞です。買う気だった人が、列を見て離れていく——ここまで来て取りこぼすのは、いちばんもったいないパターンです。
短縮できるところは3つあります。
- 価格を丸める。500円・800円・1,500円のように端数をなくすと、釣り銭が減ります
- 釣り銭を金種ごとに分けておく。財布から探す時間が消えます
- キャッシュレスを用意する。現金を数える時間がまるごとなくなります
釣り銭やレジまわりの準備そのものは持ち物のチェックリストのほうにあります。
端末選びで迷っているなら、決済端末3台を比べた記事が参考になります。
Square ターミナル
PR列が伸びる原因の多くは、商品を渡す時間ではなく、現金を数えて釣り銭を出す時間です。Square ターミナルのタッチ決済ならその工程がまるごと消えるので、1人あたりの会計が数秒で終わり、後ろの人が待たずに済みます。レシートプリンターも内蔵しているので、机の上に置くものも1台だけです。
広告
設営が終わったら、通路の向かい側から見る
ここまでの直しが効いているかどうかは、自分のブースの中からは分かりません。最後に、通路の向かい側に立って、客の目線で自分のブースを見てみます。
- 看板は視界に入るか
- 値札は、その距離から読めるか
- 売りたい商品は、目に入る位置にあるか
これが、お金をかけずにできる改善の中でいちばん効きます。設営が終わったら、一度試してみる価値があります。
まとめ
- 通路の人が見ているのは数秒。「何の店か・いくらか・近づいていいか」を先に伝える
- 看板は通路側、腰から目の高さに
- 価格は税込の総額で。値札がないと、聞かれずに離れていく
- 机で入口をふさがない。立って迎えられると声をかけられやすい
- 高さを2〜3段つくると、奥の商品まで見える
- 色数を絞ると商品が主役になる
- 会計の渋滞で、買う気だった人を逃さない
- 設営後に、通路の向かい側から自分のブースを見る
